【練習法】正しく跳べるようになるための棒高跳の始め方”5ステップ”
『A Simple Series of Pole vault Drills that teach the Vaulter』
--- "The Pole Vault -A Violent Ballet", p.134より
ここで紹介する5つのドリルは、経験や自己記録に関係なく、新たに私の指導を受けるすべての棒高跳選手に実施する「テスト」です。
ピットに立つ前に、次のレベルに向けて、これらのドリルができるようになる必要があります。これらのドリルをすることで、ポールを垂直方向に動かすためには、ポールを引かないということを選手が理解します。
すべての初心者はポールを引きます。
これらのドリルを通して、選手が、ポールが早く動くことを感じられるようになるまで、できるだけポールを引かないように、そして引くタイミングを遅らせることを教えます。
棒高跳を学べるようになるために、選手は「ポールを曲げる」技術ではなく、過去の偉大な棒高跳選手が実践してきた「曲がらないポールでの跳躍」による技術をまずは習得しなければなりません。
つまり選手は、走れるようになるには先に、“歩くこと”を学ぶ必要があります。
すべての初心者がポールを引く動きをする傾向にあります。
これにより、ポールの回転(”Pole rotation”、ポールが立つ動き)が止まります。
ポールの回転は、棒高跳におけるキーです。
選手がポールの回転を加速できれば、「より高く保持」することができ、より硬いポールを使用することができます。
これから紹介するシンプルなドリルは、選手が「引かないこと」を学ぶために役立ちます。
※ドリル1〜3は、手をくっつけて行います。
1. Pre-School “One Step Belly-Bump Walk Over”
・やや高さのある段差(約15cm〜30cm)から行います。
・グリップの位置を決めます。まずポールを垂直に立て、選手はポールの外側に立ちます。この状態で、できるだけ高い位置を持ちます。
・このドリルでは、手をくっつけて行います。
・踏切位置は、ポールの先端から1足の位置です。
・選手は歩きながら踏み切ります。ポールを押しながら、ポールにぶら下がり、体は手を支点にしてスイングされます。
・だいたいポールの先端から2足長の位置に着地します。
・選手の体幹部がポールを通り越します。
このドリルで「引く動き」が生まれると、選手の胴体がスイングする時に、ポールの横を通り、姿勢が崩れ、ポールの回転が減速します。
私たちは通常、助走路から芝生に向かってこのドリルを行っています。選手は、徐々にグリップを上げ、踏切位置もポールから1足長の位置から2〜3足長の位置まで遠ざかります。
大切なポイントは、選手の体がポール当たり、体がポールの一部になるというところです。
2. Kindergarten “One Step Pit Bump “
・選手はマットの端から3足長の位置で踏み切ります。
・グリップの位置を決めます。踏切位置に立ち、垂直に腕を伸ばした所で持ちます。
・選手は先ほど決めた踏切位置で踏み切り、「マットにぶつかり・跳ね返って」再び、踏切位置に戻ります。
このドリルで「ポールを引く」と、空中でポールの動きが止まり、体の動きが止まります。私たちは、このドリルを、棒高跳マットの側面で行っています。
3. First Grade “One Step Jump Over the Box”
・マット片側のベロから反対側のベロに向かって跳躍します。
・上の手の真下、正しい踏切位置がどこか必ず先に測っておくように注意してください。
選手がポールを引くと、ポールの回転が失われ、マットの反対側に進むことができずに、ポールの下に落ちます。コーチは、このドリルをする際に、選手がうまくできない場合に備えて、最初の数回は補助をするようにしてください。
4. Second Grade “The 3 Step Slow Motion Plant”
・ポールが重心の近くになるように保持します。
・肘は折りたたみ、手首をしっかりと返してください。
・3歩で踏切ります。この時、踵からつま先へと地面を踏むように大きなステップをします。
・3歩のうちに、腕を垂直に完全に伸ばします。
・1歩目、左足が接地する直前から右脚が接地するまでにポールを下ろします。
・踏切足が接地する時に、ポールを肩の上から額の上に動かし続け、腕を伸ばし続けます。
・腕の動き(突っ込み動作)は、歩くリズムに合わせて、止まらないように動かします。
5. Vault “The 4-Step Pole Vault”
・選手は踏切位置を測ります。
・そこから大股で4歩、後ろに移動しましょう・
・ポールを持ち上げ、一度後方に体重をかけ、スタートします。
・助走から、踏切、マットの中心へ向かってスイングをします。
ここから、6、8、10、12歩の助走へと伸ばしていきます。
3つのドリルはすべて、曲がらないポールでの跳躍です。何度も述べるように、選手はポールの曲げ方を学ぶのではなく、ポールを動かし加速させることを学ぶ必要があります。
ポールが動かなければ、ポールを曲げても意味がありません。
棒高跳には「作用・反作用」の動きがあります。
ポールを引くと、体勢が崩れ、スイングが止まります
ポールを引くと、ポールの回転が遅くなるか、完全に止まります
ポールを引くと、跳躍は成功しません
選手がポールの動かし方を理解した後に、助走を6、8、10、12歩へと少しずつ下げていき、グリップを徐々に上げます。
私たちは、narrow grip(狭いグリップ)と“hand-shift(ハンドシフト)”で、曲がらないポールでの跳躍を行い、そしてわずかにポールを曲げた跳躍を行うようにします。
棒高跳で高く跳ぶために、ポールを引かないことを選手に教えることこそ、コーチの仕事です。
(Translate: 榎)
より詳細な内容、コーチバトラーによるイラスト付きの解説は、本書中にて!!
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