【練習法】全身を伸展させ、両手でポールを押せるようになろう!
『Closed Grips, Narrow Grip & Hand Shifts』
--- "The Pole Vault -A Violent Ballet", p.138より
棒高跳の長い歴史の中で、ここ20年で、棒高跳選手はグリップをより広くするようになりました。
広いグリップは、棒高跳選手が湾曲するポールの上で倒立する能力を妨げる可能性があります。グリップが広すぎると、正しいポジションに体を持ってくる技術を変えなくてはいけない可能性があります。ポールを支え、ポールドロップをコントロールできるため、多くの選手が広めのグリップを選択しています。
ポールをアクティブに保持できれば、選手は下の手(右利きの場合は左手)でポールを支える必要はありません。
私は狭いグリップ、少なくとも選手の肩幅程度のグリップ幅にして、全身を大きく伸ばすことを勧めます。
狭いグリップは、正しい(突っ込み)角度と全身の伸展を作り出し、選手の真上に向かう長くて、大きなスイングを加速させます。この“fit grip(ちょうどいいグリップ幅)”により、大きな曲がりの上でスイングすることができ、選手を完全に反転し、バーに向かって、湾曲に乗ることができます。
棒高跳の歴史から何かを学ぶとすれば、それは私たちが現在採用している技術です。
1960年代初頭の偉大な棒高跳選手たちは、この種目の先駆者であり、曲がらないストレートポールからファイバーグラスへの変化を克服し、ポールの湾曲の使い方を学びました。
グラスファイバーポールが登場してすぐの棒高跳選手は、金属製のポールで用いられていたハンドシフト技術を採用していました。下の手を上の手側にシフトすることで、全身が完全に伸展し、スイングに向けてお尻が大きく加速していきます。
1960年代の選手は、手を揃えるか、狭いグリップ(20〜30cm)で跳躍することで、大きな成功を収めました。
1. 狭いグリップまたは“grip that fits(ちょうどいいグリップ)”は、選手が助走中に、ポールの先端を高く保持し、加速しながらポールをアクティブに降ろすことを促します。この“hand spread(手の広さ)”が、リラクゼーションを生み出します。
2. 狭いグリップは、突っ込み時にポールをより高い角度まで押すことができます。この動きは、ポールが起きる動きを加速させます。
3. 狭いグリップにすることで“open the hips(股関節の伸展)”が可能になり、真上に向かって長く、速く、力強いスイングを生み出します。
4. 狭いグリップだと、ポールを突っ込んだ際に、伸展し力強く、両手でポールを押せます。
Brian Sternberg (University of Washington、1960年代前半)は、機械体操のように“ハンドシフトをして、踏切後に大きなスイング動作(giant swing)を行う”典型的な棒高跳選手であり、当時の世界記録を更新し、棒高跳界から非常に尊敬されています。ブブカのコーチであった、ペトロフコーチは、Sternberg が最も影響を受け、参考にした選手の一人だと言っていました。
現代でも、“closed grip(狭いグリップ)”と“hand shifting”により、選手は全身を伸展させられるようになり、ポールの曲がりとともに体が伸展することでelastic power (弾性力)を感じることができます。
6〜8歩で曲がらないポールにおいて跳躍を行う場合は、約12インチ(約30cm)のグリップ幅でポールを保持し、ポールを降ろす時に、両手を一緒にするように手をシフトさせてください。
ハンドシフトでは、まるで両方の手が、上の手の役割をしているかのようになります。これらのドリルにより、選手はポールを動かす方法と、反対にポールの動きを止める原因を発見することができます。狭いグリップでの突っ込みやハンドシフトの練習は、選手が感覚をつかむまでは、常にトラックから練習を行いましょう。
(Translate: 榎)
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