【早生まれは不利?】注意せよ!子どもたちの成長に関わる相対年齢効果とは??

ボウタカチャンネルをご覧の皆さん、こんにちは。

国際武道大学の村山凌一です。


今回は、「注意せよ!相対年齢効果」というテーマで、ジュニア選手の指導に関わる皆様に重要な視点をお伝えしたいと思います。


相対年齢効果とは?

私は研究者として、「スポーツパフォーマンスがどのように発達していくのか」に興味を持ち、いくつかの研究をしています。


その中でも、運動能力や競技パフォーマンスの発達を分析する際に特に重要なキーワードとなるのが、「相対年齢効果」です。


まず、次の図をご覧ください。

これは、陸上競技のカテゴリーごとの全国大会の、出場選手の生まれ月の割合を示したものです。

生まれ月による競技者の分布(日本陸上競技連盟,競技者育成指針を参考に著者作成)


この図を見ると、日本選手権(シニアレベル)の出場選手は生まれ月がほぼ均一であるのに対し、小学生の全国大会の出場者は特定の生まれ月に偏っていることが分かります。


具体的には、4月〜6月生まれの選手が多く、1月〜3月生まれの選手が極端に少ないのです。


なぜ、このような差が生じるのでしょうか?



相対年齢の違いがもたらす影響

その理由は、同じ学年でも、4月生まれの子どものほうが相対的に成長が進んでいるからです。


例えば、0歳児を考えた場合、生まれてから365日経過した子どもと、生まれたばかりの子どもでは、発育の差は非常に大きいですよね。


これと同じことが、10歳でも考えられます。


10歳と364日の子どもと、10歳と1日の子どもは、同じ「10歳」として扱われますが、発育の進み具合には差があります。


日本では「4月2日〜翌年4月1日生まれ」が同じ学年に分類されるため、1月〜3月生まれの子どもは相対的に発育が遅く、競技の面では不利になるのです。


しかし、成長すれば差は縮まる!


ここで重要なのは、シニアレベルではこの生まれ月の偏りがなくなるという事実です。


つまり、「4月2日生まれのA君と3月31日生まれのB君がいた場合、A君の方が当初は有利でも、将来にわたってB君に勝ち目がないわけではない」ということです。



指導者や保護者が気をつけるべきこと

1月〜3月生まれの子どもたちが、小・中学生の頃に負け続けても、競技を続けられるかどうかは、指導者や保護者のサポートにかかっています。

 

残念ながら、我々はこうした事実が知られていても、4月生まれの体格の良い小・中学生を見て「逸材だ!」と判断しがちです。


「今」だけでなく、「将来の成長」を見据えた指導が求められます。


1月〜3月生まれを考慮したシステムが必要

こうした背景から、日本陸上競技連盟は、U16・U18・U20の大会を「1月〜12月生まれ」で区切る方式を導入しています。


これは、棒高跳に限らず、多くのスポーツ競技に共通する課題です。


相対年齢効果を理解し、長期的な成長を支援する視点を持つことが重要だと考えます。



まとめ

  • 相対年齢効果とは、生まれ月の違いによって競技成績に差が生じる現象
  • ジュニア世代では、4〜6月生まれの選手が有利だが、シニアになるとこの差はなくなる
  • 指導者や保護者は、短期的な結果にとらわれず、選手の成長を長期的に支援することが大切
  • 日本陸連の「U16・U18・U20」のシステムのように、相対年齢の影響を緩和する取り組みが進められている


この問題は、どこで区切りを付けて1つのカテゴリーにするかという問題です。


学年で区切る時があれば、生まれた年で区切る時、同じ誕生月同士で区切ったりと様々な区切りで競争や活動をすることが理想に思います。


そうすれば、毎回勝つ負けるという子もなく、適切に勝ったり負けたりできることができ、健全な育成につながると考えます。


相対年齢効果を理解し、すべての子どもが可能性を伸ばせる環境を整えていきましょう!

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