棒高跳のパフォーマンスに関連する運動学的な変数とは?

皆さん、お久しぶりです。

中京大学の榎です。


今回は2023年5月「International Journal of Performance Analysis in Sport」に掲載された棒高跳の動作分析を行った自身の論文を紹介させていただきます。


これまでも、棒高跳のパフォーマンスに関連する研究はいくつも行われています。

以前にも日本の論文をまとめて紹介しました。

まだの人はこちらも読んでみてください。


方法

今回は、これまでの研究で明らかとなった項目と初めて検討する項目を合わせた10項目を調査してみました。



  1. グリップ高
  2. 助走速度
  3. 踏切速度
  4. 踏切速度減速率
  5. 踏切角度
  6. 踏切位置
  7. 抜きの高さ
  8. 垂線に対する体幹下部の角度
  9. 垂線に対する体幹上部の角度
  10. 上昇速度(最大鉛直速度)


東海地方で活動する16人の男子棒高跳競技者が自己ベストの90%の高さを跳んでいる際の跳躍を分析しました。

重心が最も高くなった高さ(最大重心高)と10項目が相関関係にあるか統計解析しています。


結果

その結果、①グリップ高、②助走速度、③踏切速度、⑥踏切位置、⑦抜きの高さ、⑩最大鉛直速度の6項目が最大重心高と関連していることが分かりました。



中でもグリップ高が最も関係性が強く、その次が抜きの高さ、踏切速度でした。


体がより垂直に飛び出している選手の方がより高く跳んでいると思って⑧と⑨の項目である垂線に対する体幹角度を調査してみましたが、明らかな関係は見られませんでした。


結果をまとめると、速い助走・踏切をして高いグリップを持てるようになり、グリップに合わせた踏切位置で跳躍することが重要だということです。


至極当たり前のことですね(笑)


考察

多くの選手がもっと技術(踏切やスイング)を磨けば高く跳べると思って技術練習に重点を置いて練習をしています。



それだけでなく、本質(当たり前のこと)をもう一度見直して、どんな練習が必要か・何を意識すべきか考えてみてください。


もし本文に興味があれば、ぜひ読んでみてください。

Enoki, S., Nakayama, K., Takigawa, H., & Kuramochi, R. (2023). An examination of kinematic parameters related to pole vault performance. International Journal of Performance Analysis in Sport, 1-10.


Writer:榎

Boutaka Channel

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