コーチングの一般理論について(前編)
僕の恩師でもある図子浩二先生の「コーチング論」を題材にし、コーチの在り方について考えます。
部活動の顧問として棒高跳の指導を行う方々にも、一度、コーチとはどのような役割があり、競技者とのどのような関わり方があるのかを整理して、日々のご指導に活かしていただければと考えました!
【コーチは何をしているの?】
コーチは、「ひと・もの・か
ね・組織・情報」を用いて、合目的的な思考・行動を繰り返します。
つまり、コーチは技術指導やトレーニングの指導だけでなく、医学的な能力(応急措置や怪我の予防など)や教育者としての行動、そしてリスクマネジメントのための行動などが必要です。
良好なコーチング実践を行うには、”1つの領域の専門家ではなく、各種の能力をバランスよく身につけ、目的に応じて利用できる”ようにしましょう。
【コーチが目指す2つのゴール】
コーチは2つのゴール(ダブルゴール)の達成を目的とします。
①「指導行動」により競技力の向上を目的にする
②「育成行動」により人間力の向上を目的にする
そして同時に、コーチは『アスリートファーストの精神』を持つことが重要です。
指導行動には、専門スポーツやトレーニング学、スポーツ栄養学、生理学などの知識・経験・スキルが必要になります。一方で、育成行動には心理学や教育学、カウンセリングなどに関する知識・経験・スキルが必要です。
育成行動を疎かにすると、命令型のコーチングになり、「勝利至上主義」が加速します。結果として、コーチ自身が感情をコントロールできず、競技者に体罰や暴言を加え、彼らの心を破壊することになります。
【コーチングスタイルは4つある!!】
ここではリーダーと集団の関係を示したPM理論をコーチングのために改変したモデル「スポーツ型PMモデル」を示します。
第1ステージ:指導型のコーチングスタイル
初心者段階。コーチの積極的な指導がメインとなる。
第2ステージ:指導・育成型のコーチングスタイル
中級車段階。指導だけでなく、競技者のモチベーションを維持するなど育成に関する行動が同程度に増します。
第3ステージ:育成型コーチングスタイル
中上級者段階(一流選手への一歩手前)。高い競技力に比べて、競技へのモチベーションやメンタリティが未成熟な段階です。ここで競技者がトップアスリートになるためには、育成行動の充実が必要になってきます。
第4ステージ:パートナーシップ型コーチングスタイル
上級者段階。高い競技力と安定したメンタリティを持つ競技者との関わり方。量よりも”質”を重視したコーチングになります。
これらの内容から、コーチングを行う対象によってスタイルを変化させることが、競技者をより高いステージの競技者へと成長させるために重要です。
「コーチング」とは何ぞや!!
ということについて、一般理論を理解することは自身の指導を振り返ることに繋がります。
またこの一般理論を理解することで、種目や競技を超えて”名コーチ”と言われる人々のコーチングについて理解し、それを棒高跳を指導する場面にも上手く置き換えることが出来るでしょう。
次回は指導行動と育成行動について詳しく紹介します!!
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