筋線維のタイプを知る!「第1話:白い筋肉、赤い筋肉?」

みなさんこんにちは!

長きにわたるつくばでの自粛生活の結果、少し体が透明になってきました筋肉博士の川間です。


さて、前回は筋肉の種類についてお話しましたが、今回は「筋線維のタイプを知る!」というテーマのもと2話構成で進めていこうと思います。



第1話:白い筋肉、赤い筋肉?


1⃣ 筋線維のタイプ


突然ですが、みなさん白身魚と赤身魚、どちらが好きですか?


マグロ、カンパチ、ヒラメ…どれも美味しいですが・・・

今回は味ではなく、筋線維のタイプという観点からどの魚が好きか考えましょう!


筋線維のタイプには、大きく分けて速筋(Type IIb)・中間筋(Type IIa)・遅筋(Type I)という3つが存在します。



➀速筋(Type IIb)

まず、速筋は白く見えることから白筋と呼ばれることが多く、疲れやすいけど大きな力を素早く発揮できるという特徴があります。

その特徴から、素早い動作が求められる陸上競技短距離、跳躍選手は速筋線維の割合が大きいと言われています。


ここでヒラメやカレイの身の色を想像してみてください・・・

白いですよね?(食べたことはない)


ヒラメやカレイには、白く見える速筋線維の割合がかなり多いため、海底で素早く逃げることができ、簡単に捕まることがないのです。


このことからも、速筋線維は“瞬発力”という面で重要であることがわかります。

Pole vaulterには欠かせないかもしれませんね!


②遅筋(Type I)

遅筋はたくさんの血液が流れており赤く見えることから、赤筋と呼ばれています。このタイプは、大きな力を素早く発揮できないけど疲れにくいという特徴があります。

持久力が求められる陸上競技長距離選手やトライアスロンの選手は遅筋線維の割合が大きいと言われています。


さて、お魚の話。


皆さんが何気なく食べているマグロ、ヒラメやカレイと比べるとかなり赤くないですか?

マグロは、赤く見える遅筋線維の割合が多いため、流れのはやい日本海ですら、疲れずに泳ぎ続けることができます。


このように、遅筋線維は“持久力”という観点からとても大切です!


おいおい、中間筋はどこいったねん!というつっこみが来たので、説明します。


③中間筋(Type IIa)

中間筋はその名の通り、速筋と遅筋の両方の性質を持ち合わせています。

つまり、まぁまぁ疲れにくいし、まぁまぁ大きな力を素早く発揮できます。

(速筋、遅筋には及びませんが)


中間筋は、瞬発力や持久力が求められる競技、陸上競技10種、7種競技などで重要になってきます。



2⃣筋線維タイプの測定法


これまで、筋線維のタイプには速筋・中間筋・遅筋の3つが存在することを説明しました。

また、瞬発力または持久力が求められる競技種目ではそれぞれ重要な筋線維タイプも異なると述べました。


ここで一つ疑問が浮かびます。


「僕、私には速筋と遅筋どちらの筋線維の割合が多いのだろう・・・?」


「俺は、速筋9割男に違いない・・・」


筋線維タイプを測定する方法は大きく分けて直接法と推定法の二つがあります。


➀直接法



筋線維タイプを直接測定する方法は、バイオプシーと呼ばれる皮膚に針を刺して筋線維を取り出す方法です。取り出した筋線維を染色して、色で速筋か遅筋かを見極めます。


この方法は、正確にタイプを測定できます!

しかし・・・めちゃんこ痛いです!!


また、筋線維を取り出して修復するまで時間を要します。


ゆえに、現在この方法での測定を行なっている事例は日本でもわずかで、汎用性が髙いとは言い難いです。



川間「それでは、簡易に筋線維タイプを測定する方法はあるのでしょうか?」


生徒「あるから、質問してるんでしょ?」


川間「お、おう・・・」


②推定法

その方法とは50mの走速度と12分間走の走速度から速筋線維の割合を導き出すというものです(勝田ら, 1989)。

それぞれの速度を以下の式に当てはめて計算すると自身の速筋線維の割合を簡易に推定することができます。



この推定法は直接測定した値とかなり近いと言われています。

そのため、12分間だけ頑張れば筋線維タイプの割合を知ることができます。


是非、現場で活用してみてください!



○まとめ

以上が、筋線維タイプのお話「第1話」でした。


“自分の競技種目に重要な筋線維タイプは何なのか?”

を知ることで、競技特性に応じたトレーニング計画を立てることができます!


「いや、川間さんよぉ、Pole vaulterは速筋線維が大事っていうけど・・・どんなトレーニングしたらええのよ?」


次回は、トレーニングと筋線維タイプのお話をしていきます!


2021年、シーズンに向けて練習中だと思いますが、怪我だけは気をつけてくださいね。

それでは、また、Adios!





〈参考文献〉


勝田茂, 高松薫, 田中守, 小泉順子, 久野譜也, & 田渕健一. (1989). 50m 走と 12 分間走の成績による外側広筋の筋線維組成の推定. 体育学研究, 34(2), 141-149.

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1コメント

  • 1000 / 1000

  • Jasmine

    2023.11.12 05:29

    とっても興味深いです!ところで筋繊維の絵が速筋と遅筋で逆になってませんでしょうか。違ってたらごめんなさい。