「腹筋を行うことにより腰痛が悪化する?(後編)」

冬期トレーニングは順調に進んでいますか?

こんにちは、榎です。


「体幹」を専門に、大学院で研究を行い、またストレングスコーチの国際資格を持っている私から、「体幹」のメカニズムからトレーニングへの実践について紹介していきたいと思います。


今回の内容はとてもボリューミーなので「前編・中編・後編」に分けてご紹介しますね!


この記事は、以下の記事の続きとなります。

中編では体幹を安定させるための方法、その中でも「ブレーシング」の仕組みについて紹介しました。


【体幹を安定させるための体幹トレーニング】



体幹を安定させることでパフォーマンス向上に貢献する可能性があります。

Hodges and Richardson6、7)は、四肢を動かす際に、動作に先行して体幹筋群が活動するfeedforward作用があることを明らかとしました。


また、Smith8)は、適切な体幹筋群の動員により四肢の動作制御に貢献するとしています。



つまり!!



何か動作をする直前に、その動作の準備のために体幹が活動している!

そして、体幹に力が入ることで、手足を上手にコントロールできる!

と考えられています。


実際にトレーニングとして体幹トレーニングを導入している選手や学校も多いかと思います。

今回は、中京大学の棒高跳パートで実践している体幹トレーニングをいくつか紹介していきます。


【中京大棒高跳パートが実践する「体幹トレーニング」】


① 自重トレーニング


a. プランク(Plank with Arm Lift;Plank Elbow with Leg or Arm Lift)



目安回数:左右各8回(計16回)

スタビとかホバーみたいな言い方もあるかなと思います。


よく見かけるのが、プランク姿勢で60秒キープする練習です。

体幹の基礎的なトレーニングとしては有効かもしれませんが、実際の競技動作中は姿勢をキープし続ける場面は少ないかなと思います。そのため、ここに少しアレンジを加えていくといいでしょう。


一般的なアレンジは手や足を浮かせることです。

体重を支える支点を少なくすることで、回旋の負荷がかかります。



ポイントは、最初の姿勢をなるべく崩さないこと!

ただ回数をやるだけではなく、ポイントに注意しましょう!



b. デッドバグ(Dead bug)



目安回数:左右各8回(計16回)

逆四つ這い(死んだ虫のような)姿勢からスタートします


ゆっくりと手と足を降ろしてきますが、その際に腰が反ってしまわないようにお腹で耐えます。


ゆっくりと行うようにしましょう!

素早く「降ろす – 戻す」の動作をすると、簡単にできている様に錯覚してしまいますが、それは素早く行うことにより、”無意識のうちに”代償動作を行っているのです。



c. 体幹回旋クランチ

目安回数:左右各8回(計16回)

逆四つ這い姿勢で手を合わせます。そこから反動をつけずに合わせた手を膝の横に持ってきます。


この時に肩と体幹の角度が変わらない(腕を前ならえの位置から動かさないようにする)ことがポイントです!

肩を閉じずに体幹を屈曲・回旋させることで手の位置を左右の膝の外側へと移動させましょう。



d. 体幹回し



目安回数:左右各10回(計20回)

腕立ての姿勢から開始します。大きな円を描くように体幹を回していきます。


上下左右へできるだけ大きな円を描くようにしましょう。

左右に大きく動かすことを忘れがちになるので気をつけましょう!



e. 倒立/倒立歩行/倒立+股関節屈曲/倒立+開脚



なんともベーシックですが、大事です。


倒立を行うことで、体のコントロールが出来るようになりますが、同時に、体幹でバランスを取ることを意識しましょう。


また、その場で倒立、倒立して歩く、倒立して股関節を屈曲させるなど、倒立から様々なパターンの動きを行うことができます。

ここでは、できるだけ腰を反らないように気をつけましょう。


② 器具を用いるトレーニング


ダンベルを使うトレーニングは、ダンベルを持つことで体幹に力が入りやすくなります。

重すぎる重さを持つ必要はありません。ほどほどの重さで実施しましょう。



f. DB Hold with Trunk Rotation

目安回数:左右各10回(計20回)

仰向けの姿勢、片手でダンベルを持ち両脚をあげます。ダンベルを持っている側と反対方向へ脚を倒します。


脚を倒すときには両側の肩甲骨が地面から離れないように意識します。

強度を上げる場合には膝を伸ばして行いましょう!


g. Straight Leg Lowering with Core Engagement

目安回数:左右各8回(計16回)

仰向けの姿勢、胸の真上でダンベルなどを持ちます。両脚を膝が伸びた状態であげます。腕の位置をキープしたまま片脚をゆっくり降ろします。


脚を降ろしていく中で、腰を反らないように注意しましょう。


あくまで今回紹介した体幹トレーニングは一例です。

それぞれの選手に必要な(合った)トレーニングを選択する必要があります。

それを選択することはなかなか難しいと思いますが、そのためにコーチがいたり、プロのストレングスコーチがいます。


自分で調べる、詳しい人に相談するのも良いと思います!

地味なトレーニングを大事にしていきましょう!



<参考文献>


6. Rebella G. A prospective study of injury patterns in collegiate pole vaulters. Am J Sports Med. 2015;43(4):808-815.


7. 榎将太, 倉持梨恵子, 村田祐樹, 清水卓也. 大学生棒高跳選手の障害発生に関する前向き調査. 日本臨床スポーツ医学会誌. 2018;26(2):222-229.


8. Enoki S, Kuramochi R, Murata Y, Tokutake G, Sakamoto T, Shimizu T. Internal risk factors for low back pain in pole vaulters and decathletes: A prospective study. Orthopaedic Journal of Sports Medicine. Acceptance.


9. Enoki S, Kuramochi R, Murata Y, Tokutake G, Shimizu T. The relationships between chronic low back pain and physical factors in collegiate pole vaulters: A cross-sectional study. Int J Sports Phys Ther. 2020;15(4):537-547.


10. Bergmark A. Stability of the lumbar spine. Acta Orthop Scand. 2009;60(sup230):1-54.


11. Hodges PW, Richardson CA. Contraction of the abdominal muscles associated with movement of the lower limb. Phys Ther. 1997;77(2):132-142.


12. Hodges PW, Richardson CA, Delayed postural contraction of transversus abdominis in low back pain associated with movement of the lower limb. J Spinal Disord. 1998;11(1):46-56.


13. Smith CE, Nyland J, Caudill P, Brosky J, Caborn DN. Dynamic trunk stabilization: a conceptual back injury prevention program for volleyball athletes. J Orthop Sports Phys Ther. 2008;38(11):703-720.




【棒高跳関係者の皆さん、ご協力お願いします🙏】

国内にどんな選手やコーチがいるのか知りたいなと思っています!

(2分程で終わるアンケートです)


結果をもとに、今まで以上に貢献できる活動を目指しています💡

ご協力を、よろしくお願いします。

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