【突込】ポールと体を連動させよう!突っ込みの極意は、先人から学べ。

『Entering the Pole』

--- "The Pole Vault -A Violent Ballet", p.62より



古く、木や竹、スチールポールを使っていた選手たちは、ポールを垂直まで加速させる方法を習得する必要がありました。棒高跳を開拓してきた当時の選手たちは、地面や、砂場、おがくずに着地をする必要があり、ポールが立たずに戻ってくることを避けるためにも、ポールを加速させることが重要でした。硬い地面への着地は、背中から着地しなかったとしても、かなり痛かったでしょうし、雑な着地は体に負担をかけます。



棒高跳の先駆者たちが練習の中でそのテクニックを発展させたもう一つの理由は、メダルを獲得し、さらに記録を更新するためにも、今よりも高いバーを超えるためです。そのため、グラスフィアバーポールが発明されるまでの間、曲がらないポールやスチールポールでの跳躍技術は発展しました。


グラスファイバーポールを初めて使った選手たちがポールが曲がる仕組みを学んだとき、長年培われてきた曲がらないポールでの技術をグラスファイバーポールを進めるための技術として適応させました。

 

グラスファイバーポールを起こすために採用した技術は以下の通りです。

1.ポールの中心に向かって跳躍をする
2.両手は高く上げ、肩はエラスティックに伸展させ、下の腕の肘を曲げる
3.大きく速くスイングをする

これらは極めてシンプルに感じるでしょうが、非常に美しい技術です。



WarmadamやGutowski、Richards、Meadows、Smith、さらには、あなたの曲がらないポールでの跳躍は、今の跳躍をさらに、美しく、そして勢いのある跳躍へと変容させるでしょう。


踏切時に、ポールの湾曲に体を連動させることができれば、体はポールに向かってエラスティックに伸展することができます。昔の曲がらないポールで跳躍していた選手たちは、下のグリップを上のグリップのところに滑らせる(ハンドシフトをする)ことにより、体が伸展し、お尻が斜め上に進むようになります。両手を揃えて、高く押し上げることにより、パワフルで力強いスイングに向けて、体が加速し、勢いを作ることができます。


ファイバーグラスポールでの跳躍では、下の腕は肘で曲げ、手とお尻のラインが一直線になるところまで広げます。この動作により、体がポールの動きと連動し、ポールが加速するようになります。


頭上までたが持ち上がるような、エラスティックな突っ込み動作は、どのようにして身に付けることができるでしょうか?


1.Fibernose(左手もしくは左腕が顔の高さで曲がる)で、スイングをします。

☑︎ このような時は、下の手を真っ直ぐに固めて跳躍を行い、それによってスイングが加速し、ポールがいかに早く垂直まで動くようになるのかを確認してみましょう。


2.Fiberhead(踏切時に、Fibernoseよりも広いスペースを作ることができ、ポールを少し高く押すようになります。下の手は曲がりますが、ちょうど選手のおでこの高さで曲がるようになります)の動きになります。

この踏切時の伸展動作は、1960〜70年代の選手の動きによく見られます。こうやって当時の選手たちはポールをただ曲げるだけではなく、”曲げながら動かす”方法を見つけたのです。



3.踏切後にポールと体が連動する(体が進展し、お尻がポール方向へと進む)時、下の手の肘は曲がり、窓ができたように見えます。その窓を通り抜けるように踏切をします。

☑︎ 1960〜80年代の写真で、マットの後方から(選手が正面に向いている)写真をみてみてください。ここで言う”窓”を見ることができます。


1980年代後半〜90年代前半にかけて、新たな技術を用いる選手が現れました。

腕や肩を固め(ブロック)、左手を大きく使うことにより、ポールに力をかけ、ポールを曲げる技術です。今でも、踏切時にブロックしながら踏み切り、スイング時に、力が抜けてしまう選手は多く見受けられます。



ブロックし、スイング時に力が抜け、腕を引き込みながら倒立姿勢になる動きは、棒高跳における”一つの方法”ではありますが、私は、自然で、歴史的な技術の方が、ポールを正しい軌道で動かすためには、より良い技術だと考えています。


エラスティックと呼んでいる、ポールの湾曲に連動した体の動きは、湾曲しているポールに対して、より高い位置で倒立の姿勢を作ることに繋がります。セルゲイ=ブブカ氏の跳躍は参考になる選手の1人ですが、今の若い選手たちは、過去の選手の跳躍を参考にする機会があまりありません。



私は、これまで棒高跳にどのような選手がいて、私たちはこれからどこに向かって進んでいくのかを、知るべきだと感じています。


下の手が低い位置で曲がるところから、少しずつ高い位置にしていき、また固まった姿勢からエラスティックに伸展する姿勢へと変化する。これが、ポールをより高く押し、垂直へとポールが動くようにするまでの、自然な技術習得の過程です。


この正しい技術を習得するまでの過程が、棒高跳を学ぶ上際には合っています。そして、今回紹介した技術が、砂場やおがくずに着地していた時代から受け継がれてきた技術です。



(Translate: 芝井)




より詳細な内容、コーチバトラーによるイラスト付きの解説は、本書中にて!!


【"The Pole Vault -A Violent Ballet"】


Mondo Duplantisやアテネオリンピック金メダリストのTim Mack、Scott Huffmanなど、アメリカのトップ選手やコーチたちからのリクエストに応え、コーチButlerが4年の歳月をかけて完成させた究極の1冊!


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数に限りがあります。売り切れの際は、次回取り寄せに向けた予約となります。

ご理解のほど、よろしくお願いいたします。


Boutaka Channel

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