【突込】突っ込み動作の基本を理解しよう!

『Planting the Pole』

--- "The Pole Vault -A Violent Ballet", p.52より


棒高跳において「突っ込み」は最もシンプルかつ、最も複雑な動きです。


突っ込みは、基本的に、ポールをできるだけ高い位置で、上方向もしくはバー方向(バーの高さが十分に高い場合)に押す動作です。ボックスにポールの先がぶつかる瞬間に、“両腕”を完全に伸展させ、ポールが湾曲する前にできるだけ大きな突っ込み角を作ります。

また、この両腕の伸展によって、ポールが起きる動きが加速されます。この加速されたポールの動きは、選手の跳躍を加速させます。


突っ込みはポールの先端を落とすような動きであり、踏切3歩前から開始します。

右利きの選手の場合、踏切の左足が接地するまでに、ポールを体のそばを通して持ち上げます。ポールを落とす動き(Flip)は、重りを持ち上げるように、右手が頬、目、顔の前を通過しながらポールを押すことです。左手は、胸の前に位置させポールを支え、ポールと左腕で「T」の形を作るようにまっすぐ押していきます。

突っ込み動作でポールを押す動作は、クリーン&ジャーク、ナローグリップのスナッチなどのリフティングの動きに似ています。


ポール降ろしについては、踏切3歩前で肩の高さになります。踏切1歩前の足が離れる時には、右手はおでこの上に、踏切時は、腕は完全に伸展するようにします。

突っ込み動作は真上に向かいながら、斜め方向に真っ直ぐ行います。両手で同時にボックスに突っ込みをします。この時、姿勢は正しくまっすぐに立てて、完全に伸展した突っ込みは、腕が「V」の形になります。



ポールを押す動作を教える際の言葉は

「MAKE SPACE(スペースを作る)」と「HOLLOW(ハロー:伸びる)」です。


「Make Space」は顔とポールの間にできるだけ大きな空間を作り、ポールの先がボックスに触れる前に、腕を完全に伸展させることを意味します。


「HOLLOW」は完全伸展を意味する、体操競技の世界で古く使用されていた用語です。肩や上腕で、選手の耳を押しつぶすようにすることで、腕や肩を伸展させます。両腕が顔の横にぴったりとくっついて、ポールが曲がる前に、ポールをを押して大きな突っ込みの角度を作り、ポールを起こすようにします。



これが、全身を使ってポールを押すための姿勢です。選手は、まるで鋼の棒のように、踏切足からお尻、手の先までの繋がりを作ることが必要です。


Hollowによる腕と肩の伸展は、突っ込み後、踏切の動き「Elastic」に繋がります。


Elasticは要は、広がりやストレッチのこと、選手の上方で両腕がElasticな動きをすることです。下の腕は肘から曲がり、左腕からお尻、踏切足の爪先までが一直線になるように、左腕は上昇していきます。



この姿勢は、選手が全身でポールを押している姿勢です。

Elasticな動きにより、選手がポールの動きと連動できるようになり、ポールが起きる動きを加速させられるようになります。


Elasticな伸展は、木や竹、金属のポールを使っていた頃の選手たちに用いられていた技術です。当時の選手たちは、突っ込み時に下の手を上の手までスライドさせ、パワフルな伸展を生み出し、お尻を斜め上方向へ加速させていました。このお尻の動きは、力強く大きなスイングの源です。


突っ込み時の空間(Space)が、踏切の「Elasticity」を作り、「Elasticity」が空中でムチのようなスイングを生み出します。素晴らしい突っ込み動作はトレビュシェ(古代の戦いで用いられた投石機)の振り子の動作にも似ています。選手の体の湾曲とポールの湾曲の繋がりは、棒高跳のもう一つのパワーポジションです。



ポールを落とす、ポールを押す、「Make Space」、「Hollow」、「Elastic」、これら全ての動きが「突っ込み動作」に含まれます。


(Translate: 芝井)



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