試合でNMした時の立ち直り方を語る回|読むボウタカチャンネルラジオ


みなさんこんにちは!BoutakaChannelの水成です。

9月の「読むRadio」の時間がやってまいりました!



「試合でNMした時の立ち直り方を語る回」と題した今回のラジオに向けて、Instagramの方で質問箱を設置してみなさんの立ち直り方を募りました。


回答してくださった皆さん、ありがとうございます!!


第19回のラジオメンバーは、よねさん、千ちゃん、村山さん、酒井さん、川辺君、そして私水成の6名です。それでは早速、ラジオで何が語られたのかを覗いてみましょう!




「NM(ノーマーク)」とは??


「NM」とは、つまり「記録なし」のことを指します。

棒高跳でいうと、競技開始後、一度もバーをクリアすることなく、3回連続で失敗跳躍となった状態です。


フォロワーの皆さんの立ち直り方

質問箱に投稿してくださった皆さんの立ち直り方は以下の通りです。

・最後までコーチを信じて練習
・残りの試合で良い記録を残す
・動画をたくさん見て、直してやる!とポジティブにとらえる

・次につながる改善点がわかったと思う

・ドーハの棒高跳やモスクワのイシンバエワ選手をみてモチベーションを高める

・練習する

・NM≠悪い結果でいつか爆発的に結果を出すためのプロセスという思考に切り替える


みなさん様々な立ち直り方があるようです。

さて、ボウタカメンバーのNMについて見ていきましょう。


1. よねさん

高校2年生の時は「NMマスター」の称号を得られるほどNMをたたき出したそうです。

内訳をみると、1年間で14試合に出場し、記録が残った試合はなんと5試合。

そうなると、残りの9試合がNMということになります。


正直言って、恐ろしいです。


シーズンインしてから自己ベストを更新し、調子が良かったと本人は語ります。

7月の国体予選以降は約2ヶ月間(5試合)、記録なしをたたき出したそうです。

「いつか跳べるだろう」という想いと、出場する試合が次々に控えていたということ、そして、シーズンインで調子が良く「何かの拍子でまたベストが出る」という考えがモチベーションを保てていたのかもしれません。


これだけNMをしていても、よねさん本人は立ち直ろうとはせず、むしろ「ヘコまない」というところにたどり着きました。

1年間のシーズン中にヘコむ暇なんて与えられなかったのかもしれません。

これだけNMをしても、大事な試合は記録を残しているところがすごいところだと思います。


当時を振り返ると、「ポールが立たない」ことがNMの要因だったようです。

走り抜けをしたり、跳躍をやめたりしていないのに記録が残らないとなるとやってる人からするとただただ辛いと思います。


今では笑い話になっていますが、自分に置き換えるとメンタルが持っていないです。

幸いにも、よねさんはハードルをしていたこともあり、何とか乗り越えられたのではと語っています。


『別の柱を探す』というのも立ち直り方のひとつかもしれません。


2. 酒井さん

酒井さんは、NMをしたことがないそうです!

その要因として「NMをした時の顧問からの圧力」が恐ろしく、NMに対する覚悟が異次元にあったそうです。


今となっては、良い威圧だったと振り返ります。


酒井さんの高校時代は、毎週のように試合や記録会があったため、「気持ちを途切らせてはいけない」という想いが強く、もしNMだったとしても次に向かって頑張ればよいという前向きに捉えられたのも良かったのかもしれません。


指導者からのアドバイスとしては、「跳べ!」というような内容だったと振り返っています。


3. 川辺くん

川辺君がNMになってしまうときは、2回目まで走り抜けてしまい、3回目で跳躍をして結局合わないということが多いそうです。


そのため、年に平均2~3回のNMがあるそうです。


ここでみなさん気づいてほしいのが、「年2~3回のNM」は多すぎるくらいだということです!!MC千ちゃんが気づくまで、誰も気にしていなかったですが、平均してこの記録なしの数は多いでしょう。


最初によねさんの高校2年のNMのデータが異常だったため感覚が麻痺していますが...

気持ちがへこまない川辺君の強心臓さには頭が上がりません。


川辺君も酒井さん同様に、毎週のように試合や記録会があるため「次のための気持ち作り」がNMの立ち直りの要因なのかもしれません。


実際に、NMをした時にどのようにして立ち直るのかということは非常に大切ですが、最初からNMをしないようにするための行動をしていくことが重要なのかなと思います。


何かしらの大会に出るときには、NMでも良いと思っている選手は1人もいないと思います。

NMにならないようにするために心がけていることについても話が触れられました。


4. 水成

もうすぐ棒高跳を始めて5年になる水成は、NMになったことがありません。


NMをする人には2種類の場合があると水成は言います。


1. 自分の記録に挑戦してしまい、記録が届かなかったとき

2. 試合前日に立てた予定を忠実に実行してしまい、当日の体調を考えなかったとき


2つ目については、体調だけではなく、ポールの動きなどを見て、臨機応変に対応すればNMになる確率を減らせるのではないかという持論を持っていました。


実は、棒高跳は単独種目だけではなく、「十種競技」の種目のうちのひとつにも入っている種目です。


十種競技の中では、棒高跳は8種目目(しゅもくめ)にあります。

身体的・精神的に疲労が蓄積している中で、どのようにしてNMを防ぐのかを十種競技のコーチを務める村山さんに聞いてみました。


5. 村山さん

村山さん曰く、十種競技の棒高跳でNMをする人は2種類いると言います。

(どこかで聞き覚えのある言葉ですね...)


1. 8種目目で疲労があると思い込んでしまい、いつも通りの動きができない場合

2. 何をやっていいかわからない場合、また、試合で何をするのかを決めていない場合(練習不足)


基本的に、棒高跳のスタートはポールが立てばクリアできる高さから開始する選手がほとんどです。

NMをしてしまうとなると、「気持ちの問題」だと村山さんは考えます。


十種競技中の棒高跳でNM(十種競技で記録なしになると0点となります)になってしまったときの選手の気持ちはどうなるのかという質問に対しては、『次に向かうしかない』と言います。


十種競技選手は、棒高跳専門の選手と比較すると、出場回数が少ないです。

なので、もしNMになったら「貴重な体験をしたな」と思い、落ち込むことなく、次に向けて取り組むことが大事だと思います。


『1個ないなら、残りの9種目で勝つしかない』という十種競技スピリットを胸に刻み、やるしかないです。


最後まで諦めなければ何かが起こるのが十種競技も魅力でもあります!

同じ棒高跳でも、学びがあるのが面白いですね!


そもそも、NMをしない選手になろう!

今回のラジオは、「NMした時の立ち直り方」と題して話を展開してきましたが、NMをしたときのことを考えるのではなく、むしろNMをしないようにするための考え方について、酒井さんの意見を聞いてみました。


『練習の時から、試合と同じ雰囲気やモチベーション・準備をしているかどうか』


この言葉は、2023年2月に行われた冬のボウタカキャンプで近藤先生が伝えてくれた言葉です。練習の時から意識をすることで、試合でのNMの可能性が少なくできるのではないかと思います。


「したとき」を考えるのではなく、「しないため」のことに取り組むことも話をしていて大切だと感じました。


ここで、サム・ケンドリックス選手の小話をお伝えできたらと思います。



彼は、棒高跳を始めて一度も記録なしをしたことがないという選手です。


彼がヨーロッパで開催された試合に参加したときの話です。

アップをしていても使用するポールが届いておらず、彼のポールが見つかった時には、試合が始まっていました。


輸送車が到着してすぐに、サム選手の跳躍が始まりましたが、それでもNMをせず、記録を残したそうです。


そんな状況でも、クリアする秘訣は「バーを何度もクリアする練習量」だそうです。

それが、どんな状況でも跳べるという自信になっていると思います。


さらに、記録なしをしないための試合の戦略なども考えられているそうです。

また、練習の幅も広く扱い、どんな場面でも跳躍できるのが強さなのかもしれません。


世界トップレベルの選手のこのような話を聞くと、より熱が入りますね!


サム・ケンドリクス選手の父親であり、コーチでもあるスコット・ケンドリクスコーチのInstagram(@pvcoachk)の先日の投稿を見ると、「112回目の5m70越えの試合」と書かれていました。


常に高水準の高さで "跳び続ける"ことは、すべての選手にとって大切な指標です!


適応する力

棒高跳はもちろんのこと、様々な場面で状況が変わってきます。


村山さんは「‘‘〇〇でなければいけない‘‘という状況を作らないこと」つまり「その場面ごとに自分自身を適応させること」が重要だと言います。



いろんな戦術や考えを備え、順応していくことで、どんな環境下でもクリアできる可能性を高める。


いつも完璧を追求するのではなく、そのときある環境下でも跳べるような経験を増やすことがNMを減らす要因になると意見がまとまりました。


周りから見たら良いのに、自分で感覚が完璧でないと思い込んで跳躍をしない人が、結局「記録なし」に繋がることが多いようです。


「雑でも良いから跳んでみる」ことが、何か良い吉兆になるかもしれません。




みなさん、いかがだったでしょうか。

今回も非常に有意義な時間になったのではないでしょうか。


NMになった時、また、しないための対策についてボウタカメンバーで語り合いました。

もし、記録で悩んでいる人が身近にいれば、今回のラジオが参考になるかもしれません。


次回のボウタカラジオもお楽しみに!!


Boutaka Channel

「Boutaka Channel」は、全てのボウルター(棒高跳競技者)の『もっと高く跳びたい!』を叶えるために活動します! 運営:NPO法人ボウタカ

0コメント

  • 1000 / 1000