ばねを強くする!プライオメトリックトレーニングとは?
知っている人は知っている!
プライオメトリックトレーニングについて紹介します。
【プライオメトリックトレーニングとは?】
プライオメトリックトレーニング(Plyometric Training)とは、
極めて短時間の運動であり高負荷型の反動動作を使った、運動のパフォーマンス向上を目指したトレーニング法です。
プライオメトリックトレーニングには大きく2つの要素が組合されます。
①バリスティックな運動
約0.2秒以内でできるだけ素早い力発揮を行う運動。
②伸張-短縮サイクル運動
筋が強制的に伸張されながら伸張性筋収縮によって運動エネルギーを受けとめ、その後短縮性筋収縮によって筋の短縮が行われます。この伸張と短縮を組み合わせた運動。
つまり「非常に素早く伸張-短縮サイクル運動が行われて力を発揮する運動」を用いたトレーニングのことをプライオメトリックトレーニングと言います。
例)スプリントの接地、跳躍種目の踏切、球技スポーツにおける方向転換、ジャンプ、シュート運動 など
【プライオメトリックトレーニングをするとどうなるの?】
プライオメトリックトレーニングを行うと体の中では何が起こるのでしょうか?生理学的な視点からプライオメトリックトレーニングの効果を紹介します。
①力発揮能力の向上
筋肥大が起こり、また過度の伸長負荷に対する力発揮能力が向上します。
②神経系の改善
素早く力を発揮する能力が向上します。
③伸張反射の促進
接地の瞬間の過度な伸長負荷に対する抑制機構が低下し、促通機構が増大します。(大きな負荷に対して守るのではなく、さらに力を出して抵抗できるようになります。)
④スティフネスの向上
腱(アキレス腱など)のスティフネス(硬さ)が向上します。
【プライオメトリックトレーニングと各運動能力の関係】
これまでプライオメトリックトレーニングを行うことで、様々な運動能力が向上したとの報告があります。代表的な内容を紹介します。
①スプリント能力の向上
プライオメトリックトレーニングがスプリント能力に及ぼす影響について26件の調査をメタ分析すると、【①10週間②15セッション④高強度運動④80回以上のジャンプ/1セッション】の条件を満たすと有効であるとの報告があります。
②方向転換能力の向上
35名のラグビー選手を対象に4週間のトレーニングを実施したところ、アジリティ(方向転換能力)が大幅に向上しました。
③最大跳躍高の向上
バスケットボール選手やハンドボール選手、水泳選手を対象にした調査などにおいて跳躍高が向上したとの報告があります。
④最大筋力の向上
7週間のプライオメトリックトレーニングで5回の反復スクワットにおける最大挙上重量が増大したとの報告があります。
【プライオメトリックトレーニングをやってみよう!】
プライオメトリックトレーニングには様々な方法があります。ここではバリスティックな伸長-短縮サイクル運動を用いた代表的なトレーニングに注目してみましょう!
また、レジスタンストレーニング(フリーウエイトや補強)と組み合わせることで効果が高まるとされています。
①スキップ
スプリント系のドリル、スキップ走など
②ハードルドリル
ステップをしながらのハードルドリル
③ボックス・ハードルジャンプ
両足ジャンプ、片足ジャンプ、ギャロップなど
④バウンディング
両足ジャンプ、バウンディング、ホッピング
【プライオメトリックトレーニングに向けた注意点】
プライオメトリックトレーニングは運動能力向上を目指すうえで有効なトレーニングです!
しかし、高負荷であることを忘れてはいけません。
実際にやってみると「きつい!」と感じる人は少ないでしょう。
しかし接地時には体重の10倍以上の負荷がかかっています。気づかないうちに骨や筋、腱には大きな負荷がかかります。
そのため多くの量を行うと、怪我のリスクが高まるトレーニングだということを理解しておきましょう。回数を事前に制限し、十分に回復のための期間を確保しながらトレ―ニングを継続することが重要です。
また、地面の環境を変化させることで負荷を和らげられるとの報告もあります。トラックだけでなく砂地や芝生など環境にも配慮できるとより良いです。
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