【受講レポ】十種競技者が抱える棒高跳の課題を解決しよう!| ボウタカゼミ


初めまして、中京大学大学院の中山です!

今回はBoutaka Channelの新企画「ボウタカゼミ」に参加しましたので、その内容を報告をします。


テーマは「十種競技者が抱える棒高跳の課題を解決しよう!」

メイン講師は村山先生です。


さて、今回のボウタカゼミには一般公募の中から総勢6名のコーチ、社会人、学生アスリートに参加していただきました!



この6名とBoutaka Channelメンバーで全4回の講演とディスカッションをしました。




Day1:十種競技者における棒高跳の特徴

講師:村山先生


村山先生より、十種競技者における棒高跳の特徴を論文やコーチング事例を講演していただきました。

村木ほか(1993)の論文では、混成競技者は「体操競技的な運動が未習得、基礎技術やポールについて知識が不足」と記していました。これは多くの混成競技者が十種競技を大学からスタートすることから、棒高跳の練習から環境に至るまでの知識が不足するためと考えられます。特に、棒高跳は一般の施設も少ないですからね。


コーチング事例では、混成競技の棒高跳初心者に対する課題とコーチングの結果について発表がありました。

村山先生の指導した選手は、初心者の時に、踏み切り後にポールにしがみついてしまい、ポールを立たせらないという課題がありました。

そこで村山先生は、上グリップのみのポールワークを行い、ポールにぶら下がる感覚とポールを操作する感覚を身につけさせました。


このように、文献や事例においても混成競技者特有の特徴が見られました。

また、特に混成競技者では棒高跳の環境や指導者もあまり多くはないため、始めたばかりの混成競技者は基本技術を学ぶ場が少ないことが考えられました。



Day2:個人の課題を確認

ディスカッション


個人の課題を明確化するため、棒高跳の課題の発表とそれに対する対策をディスカッションしました。

このディスカッションのポイントは、課題の具体化です。

課題は何ですか?と聞かれた場合、みなさんは誰でも分かるように回答ができますか?

また、その課題意識は本当に課題を捕らえているでしょうか?


例えば参加者より、「試合の待ち時間で動きが変わってしまう」という課題が挙げられました。

この課題も、さらに噛み砕くことができます。

動作が変わると言っても「助走、ポール操作、空中動作」といった局面に分けられます。

話を進めていくと、1本目の試技が始まると絶対跳んでやろうという気持ちが先行し、助走距離が変わり、踏切後の姿勢が崩れてしまう傾向に気が付くことができました。


当初は、試合1本目が失敗してしまうという漠然とした課題でしたが、参加者同士のディスカッションを通して、絶対跳ぶという気持ちによって、助走が通常よりも短くなる傾向があることを発見しました。

一見、シンプルな課題に感じますが、棒高跳のように複雑に様々な要素が絡みあう種目においては、関連する要因が多くなり、課題をシンプルに捉えることが難しくなります。

しかし、ディスカッションをすることによって、他者の意見を触れ合うことでいままで見えていなかった課題がよりクリアにすることができたと思います。


特に今回は環境が異なるもの同士のため、新しい観点の気付きや過去に同じ悩み持った競技者が参加していたため、課題の解決策の提案にも発展しました。



Day3:棒高跳の基本

講師:米原先生


米原先生より、「棒高跳の基本」について講演していただきました。


これまでのディスカッションや質疑応答に参加してきた米原先生が、参加者のためにオーダーメイドの内容でプレゼンを準備しました。


ここでは棒高跳の基本として、記録の構造や習熟の流れ(技術)、ポールの選択などを教えていただきました。

特に興味深いのは混成競技者と専門競技者の記録の向上の過程です。

多くの棒高跳競技者は中学・高校から初め、グリップ高と比例しながら、抜きを出して行きます。その一方で、混成選手は抜きが出るのは珍しいのが現状です。


この違いは棒高跳開始時の身体能力の違いだと考えられます。混成選手の棒高跳は大学から始まるのが一般的です。大学生であれば、身体能力が高い地点から始める為、容易にポールを曲げることが可能です。

しかし、その一方で、簡単に曲げられてしまい、本来の基礎技術が疎かになったまま、練習を続けてしまいます。その為、いざグリップ以上の高さ(4m00~80cm)に挑戦しようとするときに、エラーが生じると考えられます。


次に紹介するスライドは習熟の流れです。

黄色から赤色にかけて、大まかにレベル分けしています。基本的には青色のレベルに到達すると初めてポールを曲げても安定して跳躍ができると考えられます。


皆さんのレベルはどのくらいに到達していますか?


ゼミ内では、基本技術が習熟しないまま、空中動作ばかりを練習しているという声や、硬いポールの使用にこだわりすぎているという声がありました。


このように混成競技者は、棒高跳開始時の身体能力、技術の習熟度が専門の競技者と異なることが考えられました。

特に、混成競技者を棒高跳専門コーチがコーチングする場合に生じる意見の違いはこういったバックグラウンドがある為だと思いました。



Day4:最終発表会


いよいよ最終回!

これまでのゼミ活動から自己の課題の分析と課題に対する方策を発表しました!



全4回のゼミを通して参加者は課題を的確に捉えられるようになり、具体的な練習方法を提示し、来シーズンの目標に向けて明確な計画を立てられるようになりました。


私も、混成競技者の棒高跳の悩みを聞き、共感する場面や新たな発見が多く見られました(現役の時、こうすれば良かったのか!と思います)。


特に、専門の指導者がおらず、練習している混成競技者は多く、課題の解決策が思い浮かばず、悩む機会も多いです。このことから、今回のように多種多様なバックグラウンドを持つメンバーと触れ合うことで解決の糸口を見つけることができるのは嬉しく思います。


ボウタカゼミに参加したことで、十種競技者の棒高跳に対する様々な視点とその方策を学び、新たな出会いや発見の場になりました!




<< 参加者の声 >>

Q. ゼミに参加して良かったことは?

  • 共通した悩みや課題が共有できた
  • 基本技術と練習方法について学ぶことができた
  • 普段の環境ではない、新たな観点や考え方に触れることができた


今後も、ボウタカゼミは定期的に開催(テーマは都度、変わります)されます。

SNSで投稿される「募集情報」をお見逃しなく!!


P.S.

実は、ゼミ参加者は、限定Instgramアカウントに招待。

ゼミの要点や、今後のゼミ活動の内容が閲覧できるんです!!

これはすごい・・・


それでは、次回のゼミをお楽しみに!


(writer:中山)



◆ 参加者募集中!

ただいま、ボウタカゼミvol. 2「棒高跳選手における筋トレを考えよう!」 の参加者を募集しています(募集:1月23日まで)。興味のある方は、こちらのページをチェック!


◆ ボウタカゼミとは?

NPOボウタカが主催する、棒高跳について”考える会” それが「ボウタカゼミ」!!

毎回「テーマ」を設定し、ボウタカメンバーと参加者が会話をしながら、考えを深めていきます!前回は「十種競技者の抱える棒高跳の課題を解決しよう!」をテーマに開催。

Boutaka Channel

「Boutaka Channel」は、全てのボウルター(棒高跳競技者)の『もっと高く跳びたい!』を叶えるために活動します! 運営:NPO法人ボウタカ

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