Pole Vault Summit 2019①「Runway to Success」

2019年1月18・19日、アメリカのネバダ州リノで開催された棒高跳サミットに行ってきました!

ここから数回に渡って、参加したセッションの内容をシェアしていきたいと思います。

今回は開会式で行われたBob Seagrenによる基調講演『Runway to Success』を紹介します。

Bob Seagrenは1968年メキシコオリンピックに優勝、競技引退後は俳優へ、現在はイベントマネジメント会社社長として活躍しています。


【Runway to Success】

1.棒高跳との出会い

11歳のころ私は棒高跳を始めました。

はじめたといっても、竹のポールを使い、裏庭で遊んでいたという程度です。裏庭のフェンスや柵、塀を跳んで遊んでいました。また、自宅の屋根から隣の家の屋根へポールを使って飛び移るのも大好きでした。私の家の周りには飛び越えたいものがたくさんありました。 

そして、中学1年生になると初めての試合に参加しました。

その頃の私は、いつも塀や柵を飛び越えてしかいなかったので、もちろんどれくらい跳べるのかなど全く想像もつきません。7フィート(約2m10)くらい跳べるといいなと思っていました。試合では予想以上に8フィート(約2m40)を跳ぶことが出来ました。 

高校生になると、初めてグラスファイバーのポールを使って跳躍をするようになりました。 

初めの頃は12.4フィート(約3m70)を跳んでいましたが、次第にグラスファイバーの特徴、湾曲を利用した跳び方がわかり始めました。高校生の終わりには14.4フィート(約4m40)を跳びました。このころになると各地の大学からオファーが来るようになりましたが、私は残念ながら奨学金をもらえるほどの学業成績を持っていなかったので、それらの大学への入学は諦めました。 


2.世界記録更新

そして高校卒業後は学費が安く、施設が充実しており、良いコーチもいる、コミュニティーカレッジ(短期大学のような学校)のMt.SACを選びました。

1年目には、コーチの指導のおかげで自己記録が16.6フィート(約5m)になりました。この記録が私の競技生活を大きく変えました。私の競技へのモチベーションは大きく高まりました。 2年目には当時の世界記録(17.5フィート;約5m30)を更新しました。 当時、世界ランキングのトップ選手の多くがCaliforniaには近辺ににいたこともあり、私は毎週のように世界トップ選手たちとの試合を行うことが出来ました。このことは一つ、私の競技においてラッキーだったことです。その後に、Mt.SACからUSCに学校を移ります。 


3.メキシコオリンピック

USC4年生の時に1968年メキシコオリンピックを迎えます。 

この大会は本当にプレッシャーのかかる試合でした。なぜなら、私は当時の世界記録保持者でした。また会場では、これまで知らなかったヨーロッパ出身の強い選手が多くいました。アメリカはオリンピックの棒高跳でこれまで一度も負けたことがなかったので、これは大きなプレッシャーになりましたね。 この試合で私はいつものように高さをクリアしました。しかしここで、驚く事態が起こりました。ドイツから参加している2選手が、自己記録よりも高い高さのバーをどんどんとクリアしていくのです。当時の世界記録であった17.6フィートを2人がクリアし、私は何が起きているのか信じられませんでしたね。そして続く17.7フィートも私と2名のドイツ選手はクリアしました。その次の高さで3名揃ってクリアできず、私はとても落ち込みました。私はその時、無効試技(失敗回数)のことなど考えられないほどに次のバーを跳ぶことだけを考えていました。競技後、審判から「君が優勝だよ」と言われて、なんともまた驚いたのを覚えています。 


4.メキシコオリンピック後

メキシコオリンピックから帰るとTVのインタビューやコマーシャルへの出演が続きました。 

この頃から、テレビや俳優に興味を持ち始めます。それから少しの間は競技を続けます。世界記録を更新しオリンピックに優勝した私ですが、棒高跳だけの生活のやや複雑な気持ちを抱き始め、自分の人生に不満を抱くようになりました。私は競技をプロ選手として棒高跳をするようになります。また、俳優としてもテレビや映画に出ました。また1977年にはビジネスの世界にチャレンジします。今では、イベントマネジメントの会社を経営しています。今の会社では、Californiaを中心にマラソンやトラックレースのイベントを開催するマネジメントを行っています。そして、ようやく最近になって棒高跳の大会も開催するようなりました。少し時間は経ちましたが、棒高跳が今の仕事にも繋がりました。  


5.Runway to Success

棒高跳での成功だけが人生の成功ではありません。ここで経験したことを競技以外の場面、競技引退後に活かすことが大切です。私はみなさんに以下の2つのことを棒高跳において実践してほしいなと思います。まずは「自ら目標を設定すること(Set Goal Yourself)」、そして「経験を恐れないこと(Don't Be Afraid of Experience)」です。ここでの、棒高跳での経験は必ずみなさんの人生の成功への道 ”Runway to Success”になります。 


Boutaka Channel

「Boutaka Channel」は、全てのボウルター(棒高跳競技者)の『もっと高く跳びたい!』を叶えるために活動します! 運営:NPO法人ボウタカ

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