”パフォーマンスに直結する”水分補給のポイント!

こんにちは!

現在、大学の栄養科学科で管理栄養士の基礎を学んでいる荻野です。


みなさんは、運動前・中・後どんなものを飲んで水分補給を行っていますか?

今回は、主に運動前・中・後のそれぞれ3パターンに飲むとよいドリンクについて紹介していこうと思います!


日本スポーツ振興センターが出版している「競技者のための暑熱対策ガイドブック」の5章「暑熱環境下における水分補給」を参考にしています。


水分補給の大切さについて

水分は補給することで、身体の熱を発散し、体温を下げるという効果を持っています。


水分補給をしないと体重の1%が汗として失われたあたりから、スポーツパフォーマンスは徐々に低下し、2%が失われると、自覚症状はないものの確実に動きが鈍くなってくると言われています。


3~4%の減少では、パフォーマンスの低下や疲れが自他ともに認識されるようになり、5%以上の水分が失われると吐き気やめまいなどが生じ、最悪の場合は意識障害などが起こってしまいます。


図は、脱水とパフォーマンスの関係を表したもので、こちらからも発汗による脱水が大きくなればなるほどパフォーマンスは低下してしまうことが分かります。


図1:脱水とパフォーマンスの関係(「競技者のための暑熱対策ガイドブック」より)


では、どんな風に水分補給を行えば脱水にならず、パフォーマンスが低下せずに競技ができるのかについて運動前・中・後の3パターンの紹介をしていこうと思います。


水分補給は暑い夏場に大切というイメージが強いですが、秋や冬といった寒い季節も寒さに体温が奪われないように汗をかいて体温調節を行っているため、冬も熱中症になるリスクがあり、どんな季節でもこまめな水分補給が大切です。


運動前

運動をする前やウォーミングアップ時の水分補給は、試合前に余分な体水分の損失(主に発汗)や高体温を避けることを目的としていています。


運動をする直前に水分を取り過ぎてしまうと胃が重くなり、運動の負担となってしまうので運動を始める30分前までに250~500mlの水分をするのがオススメです。


運動を始める30分~60分前にオレンジジュースなど糖分の多い飲料を飲むと運動開始直後後に血糖値が急激に下がるインスリン・ショック(低血糖状態になり冷や汗や震えといった症状を起こす)になる恐れもあるので、運動前は糖質の少ないお茶や水、スポーツドリンクなどで水分補給をするようにしましょう!


運動前に摂取する飲料の温度が発汗に与える影響はそれぞれ違います。


暑熱環境下において、運動の30分前に体重1kgあたり①7gのクラッシュアイス(0.5℃)を摂取した場合と、②常温水(22℃)を摂取した場合を比較したところ、②常温水を摂取した場合において発汗量が多いことが分かっています。


冷たい飲料を摂取することで、運動中の深部体温の上昇を抑え、無駄な発汗を防ぐことができます。


発汗量が気になる方は、運動前に深部体温を低下させておくことも有効と言えます。


運動中


運動中や試合時の水分補給は、失われた水分や電解質を素早く補給することと過度な体温上昇を防ぐ目的があります。


では、運動中は冷たい飲み物とぬるい飲み物どちらが良いのでしょうか?


冷たい飲み物(4℃の水)を摂取した方が、ぬるい飲み物(37℃の水)を摂取した場合に比べて、運動中の深部体温が低く抑えられ運動継続時間が長くなったことが分かっています。

他にも暑熱環境下における飲料水の温度がパフォーマンス発揮や体温調節に与える影響として、飲料の温度の低い方が持久性パフォーマンス発揮に有利に働くという研究結果も出ています。


しかし、氷の入っている飲み物は一般的に-0.1℃くらいと冷たすぎてしまい、胃に負担がかかりすぎてしまうため、氷が溶けたものや冷蔵庫で冷やしたものが適切な温度の飲み物と言えます。


同じく、冷凍ドリンクのみで水分補給をするのも避けてほしいです。


また、長時間運動する中で運動中に糖分のある飲料を補給することで体力が維持され、後半になっても高いパフォーマンスができるという研究結果も出ています。


運動中は水やお茶だけでなく糖分の入ったドリンクも用いて1時間の間に500~1000mlの水分を補給するのがオススメです!


糖分のあるドリンクの糖質濃度は、4~8%の体液に近い浸透圧の飲料が日本スポーツ協会で推奨されていますが、夏場など発汗量が多い時には水分の補給を最優先に考え、体液より浸透圧の低い糖質濃度2~3%の飲料を飲むのもよいとされています。


糖質濃度4~8%の飲料は、スポーツドリンク、果汁ジュース、炭酸飲料、エナジードリンク、野菜ジュースなどがあります。


エナジードリンクには、たくさんの糖質とカフェインが含まれているため、摂取のしすぎには注意が必要です。


糖質濃度2~3%の飲料は、カロリーゼロのスポーツドリンクなどに多いですが、運動中は糖分も必要となってくるので、軽食などを利用して程よく糖分を摂取できるように自分の体の調子に合わせて飲料の糖質濃度を変えてみてください。


運動後

運動後の水分補給は、失われた水分や 電解質を回復させるだけでなく、トレーニングや試合後の身体を整える(コンディショニング)という点においても重要です。


運動後の水分補給では運動で利用した糖分の回復と汗で失われた電解質を補給することが大切です。


水分補給しながら糖分補給するには、オレンジジュースなどの果汁ジュースや電解質(ナトリウム)の入ったスポーツドリンクなどを飲むと体水分の回復に効果的で、運動後30分以内に200~300ml摂取するのがオススメです!


また運動後に糖質だけでなく、タンパク質を摂取することで血漿量やアルブミンの増加率が上がるということが研究で明らかになっています。


血漿は血液に含まれる成分で、増えることで体温調節を上手く行うことができ、熱中症になりにくくなるなどの効果があります。


アルブミンは血漿に含まれるタンパク質のことで、体内の水分量を調節する効果や血液の浸透圧維持の効果などがあります。


グラフはコントロール(糖質飲料のみ)と糖質+タンパク質を比較したものとなっていて、2倍近く血漿量の増加率もアルブミンの増加率も違うことが分かります。


図2:暑熱環境下でのトレーニング後におけるタンパク質摂取が 血漿量およびアルブミンに与える影響(「競技者のための暑熱対策ガイドブック」)


タンパク質は、運動後45分以内に摂ると筋肉へのアミノ酸輸送量を通常より多くでき、筋肉をより形成しやすくなるとされています。


運動後には手軽に、タンパク質と糖質、水分を摂取できるプロテインがオススメです!


まとめ

今回は、栄養補給とドリンクについてまとめさせていただきました。

棒高跳は、他の陸上球技に比べ試合時間が長いため、運動前や試合前から適度な水分補給を意識しパフォーマンス向上を目指して行きましょう!


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参考文献

競技者のための暑熱対策ガイドブック(日本スポーツ振興センター, 2017年7月1日) 

◼︎ 前半(〜p.23)

◼︎ 後半(p.24〜)


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