女子選手のための「エネルギー不足チェック」のすすめ!

こんにちは!ボウタカチャンネル初登場のたまゆです!

今回は「女子選手のためのエネルギー不足チェックのすすめ!」をテーマにお届けします。



女子選手の間では減量の必要がないのに「やせなくてはいけない」というような意識があったり、痩せるためだけのいわゆる「ダイエット」をしてしまって、スポーツパフォーマンスを十分に発揮できていないことが多いのではないでしょうか。


日本でも女子選手の栄養摂取やそれに関連する健康問題が取り上げられるようになって久しいですが、改めてそのあたりの情報を整理してみたいと思います。

女子選手の皆さんはもちろん指導者の方にも理解して取り組んでいただきたい内容です!


今回は、下記のレビュー論文から

私が考える実践方法とその詳細を解説していきたいと思います。

「Recommendations and Nutritional Considerations for Female Athletes: Health and Performance」


女子選手の場合は、スポーツパフォーマンス維持・向上や体の健康のために、栄養に関する取り組みとして、最低限下記のことを実践してほしいと思います!


☑︎ とにかく「主食・主菜・副菜+乳製品・果物」のそろったバランスの良い食事!


☑︎ 特に、鉄、カルシウム、ビタミンDを多く含む食材を欠かさない


▷各栄養素が特に多く含まれる食材のリスト

鉄:レバー、マグロ、カツオ、アサリ、小松菜 など

カルシウム:牛乳、乳製品(チーズ、ヨーグルト)、豆腐、納豆、骨ごと食べられる小魚 など

ビタミンD:丸干しイワシ、鮭、さんま、きのこ類(干ししいたけ、きくらげなど)


☑︎ 月経(生理)は周期的にきているのかをチェック

(周期が遅れていないか、3ヶ月以上月経が来ていない状態が続いていないか)


☑︎ 体重や体組成の定期的な測定

(急激に体重が減少していないか)



「主食主菜副菜+乳製品・果物」のそろった食事の例


では、レビュー論文を元に解説していきます!


国際オリンピック委員会(IOC)が発表したコンセンサス(共通理解)のひとつに、


“スポーツにおける相対的エネルギー不足(Relative Energy Deficiency in Sport, RED-S)”


という概念があります。


相対的エネルギー不足とは、健康、日常生活、成長や運動に必要なエネルギー消費が日常の食事によるエネルギー摂取を上回ったために生じるエネルギー不足の状態のことを指します。


このエネルギー不足は免疫、月経機能、骨の健康、内分泌系、代謝系、血液、成長発達、メンタル、心血管系および消化器系に影響し、慢性的になると健康とパフォーマンスにまで影響を及ぼすとしています。(図参照)



エネルギー不足を避けるために、そして体の健康とパフォーマンスの維持のためには、以下のポイントに注意することが必要とのことです。


1. 1日あたり約45 kcal/kg/除脂肪量の利用可能エネルギーを目指すこと

2. 栄養不足を示す可能性のある月経周期の変化をモニタリングすること

(月経がきているか、周期が不規則になっていないか)

※ 月経がこないことはアスリートにとって正常では無い

3. ビタミンやミネラルなど微量栄養素が不足しないようさまざまな食品を食べること

4. 特に鉄、カルシウム、ビタミンDは、女性アスリートにとって特に重要な微量栄養素であり、積極的に摂取すること

→ 鉄:不足すると鉄欠乏や貧血につながり食事制限や運動量の多い選手、月経による出血が多い選手は鉄欠乏のリスクが高い

→ カルシウム:骨の健康に重要(ビタミンDはカルシウムの腸管吸収を助ける)

→ ビタミンD:骨の健康、骨格筋の健康、免疫、および傷害の予防を維持するために重要

5. 毎日1000~2000IUのビタミンDをピルで補うことは合理的ではないこと

6. ソーシャルメディアでの誤った情報に惑わさされず、スポーツ栄養士に相談し個人にあった栄養計画をたてることが必要であること



まず、「1日あたり約45 kcal/kg/除脂肪量の利用可能エネルギーを目指す」ことを実践するには、下記のステップが必要になります。

(かなり簡単に書いています)


①自分の除脂肪量はどのくらいかを知る

→ 除脂肪量を測定する

②「45kcal×自分の除脂肪量」から利用可能エネルギーを知る

③「自分に必要なエネルギー量」を知る

→ 日々必要なエネルギー量=基礎代謝量+利用可能エネルギー

④「自分に必要なエネルギー量」に対して、エネルギーをどのくらい摂取できているのかを知る

→ 日々の食事のエネルギー量と必要なエネルギー量を比較する

⑤比較して足りない場合は食事を改善する


最近は体組成計がある家庭も増えていると思うので、除脂肪量の測定は気軽にできるようになったと思います。

しかし、基礎代謝がどのくらいなのかや自分がどのくらいのエネルギー量を取れているのかは、研究室での測定やスポーツ栄養士さんなどに聞く環境がない限りなかなか確かな情報を得にくいのが現状です。



もし、スポーツ栄養士のような専門家が身近にいて相談できるようであれば相談してみてほしいですが、そのような機会がない選手の方が圧倒的に多いと思います。


女子選手に特に不足しやすい「鉄、カルシウム、ビタミンD」を十分にとれているのかを確認するのは、血液検査などをしなければ正確にはわからずなかなか難しいと思います。

専門家に相談しないとわからないことも多いですが、選手自身でわかることもたくさんあります。月経が不規則であったり急激な体重減少が起きるのは、エネルギーや栄養が不足しているなど何かしらよくないことが体に起きている可能性があることの指標になります。


「月経周期」、「体重や体組成」、「食事内容」の3つの状況を

「知る」→「状況を捉える・理解する」→「改善へと行動する」

ことができれば、健康やパフォーマンスの維持向上につながると思います。


相対的なエネルギー不足は、陸上で言えば長距離選手に多く見受けられると言われていますが、長距離系以外の種目でもエネルギーや栄養が不足していればどの種目の選手にも起こりうることです。


ぜひ実践してみてください!


おまけ!!

私のInstagram(@mayu.m__28)では、アスリート飯を紹介しています!

日々の食事メニューに迷った時はぜひ参考にしてみてもらえると嬉しいです!

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